さてシンタンからサンガウ方面へ戻る方向にバイクを走らせてみよう。
こちらは上流側とは対照的に濃い紅茶のような水が流れる湿地帯である。
以前から目をつけていたクリプトやバークレアが繁茂する川に到着!このクリプトコリネはフスカだろうか?
クリプトコリネ・フスカ?
バークレアの花
しかし水は相当増水しているようで、足がつかないほど深い。
僕の二刀流、寸分たがわぬ電光石火の如き網技を繰り出しても魚はいっこうに採れなかったのである。
しかしここには何かいるはずだ、内陸性のリコリスあたりが生息するのではと読んだのだが・・・
次回にまた再挑戦である。
次に目をつけた細流もキレイなブラックウォーターだ。
やはりクリプトとバークレアが生えていたがベタはまたしても空振り。
代わりに水の中からヘビが出てきやがった!
このあたりは濃いブラックウォーターだ
さらにスカダウ方面へとバイクを走らせる。スカダウの町にもうかなり近づいているはずだ。
おっと土手の下に良さそうな川があるぞ!ここも今まで見逃していた川だ。
渓流的な細流、川底は石や岩、流木などだ
ちょうどカーブになっている場所で、しかもかなり下の方に川があるので見えにくかったのだ。
このあたりの川にしては珍しく流れは早く、日本の渓流を思わせる感じだ。
しばらく川の様子を観察していると・・・ヒラヒラっとしたものが石陰に隠れたのが見えた!
ベタだ!エニサエか!?尾っぽのほうが青白くヒラヒラしたのだ!
しかし石が邪魔をして網がまったく入っていかない。くそー釣り道具を持ってくるべきだった。
エ〜イこうなったら川底ゴチョゴチョ作戦だ!
これはどういう作戦かと言うと・・・
よくハヤ(ウグイ)なんかを釣るときに使う伝統的かつ邪道な漁法がある。
川底の砂利を引っ掻き回すとその下流側に川虫なんかが流れだし、それを食べに魚が集まってくる。
そこを一網打尽にするのである。これは同じコイ科の魚であるバルブやラスボラにも強力な効果がある。
しかしベタに使うときは、やり方は同じだが意味がちょっと違う。
ベタは濁った水がキライなので、川底を引っ掻き回して水が濁ると、こりゃたまらんとばかりに水面に顔を出してくるのである。
このような生態は水槽内でも見れる。底砂を思いっきり掻き回して水槽内が見えないくらい濁らせてやるとベタは水面に浮かんでくるのだ。
この方法はバイランティを採集する時などにも使えるが、使い所を間違えると逆に採集が全く出来なくなるという難技である。
おっっしゃ〜!ゲットじゃー! ん?エニサエじゃないな、ブレビオベサスか!?
いやタエニアータにそっくりさんだ。カプアス産のタエニアータか!?
タエニアータによく似ている!
そのあとは川で遊んでいたガキンチョたちに採集を手伝ってもらいパワーアップ!
メス個体をよく見ると黒い体側のラインが3本はっきりしている。やはりピクタグループだろう。
それにしてもほんとカリマンタンのガキどもの魚採りのうまいことといったらない。いつも関心してしまうのだ。
ロケットフィッシュがたくさん。現地名はイカン・プサワッ(飛行機魚)
クーリーの仲間シェルフォーディ、グリーンメタリックな感じがいい
それにしてもタエニアータがカプアス水系にも生息している事が確認できた。
実はかなり前にsp”サンガウ”の生息地近くでもタエニアータらしきベタを採集していたのだが、
これも一匹採集できただけでハッキリしなかったのだ。そういう事はよくある。
今年2002年になって、ドイツ便でもカプアス最上流のプトゥシボウからタエニアータらしき魚が輸入されている。
ただ最近はアカレンシスのようにサラワク産とカリマンタン産は別種に分けられるという傾向がある。
将来的にはもしかすると分けられる可能性もあるかもしれないが、近縁関係にあることは間違いないだろう。
[シンタンから上流方面へ]
[シンタンから下流方面へ]
[シンタンからナンガ・ピノ方面へ]
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