Betta macrostoma採集記

とうとうこの時が来た。マクロストマを採集する時が来たのだ。
ボルネオ島で採集を始めて10年以上が過ぎた。遅すぎたかもしれないな〜。

現在、輸入されてくるマクロストマはほとんどがマレーシアのサラワク州産、またはサラワク州から歩いて入れる地域のブルネイ国産のようである。
僕はマクロストマが生息するサラワク州東部のバラム(Baram)川水系マルディ(Marudi)の町へ向かった。
今回マレーシアの友人から「マクロストマを採りに行くならこいつにコンタクトをとってみるといい」とあるイバン族を紹介されていた。

マルディへ着いた僕は紹介されたイバン族の男へコンタクトをとってみた。
ちなみにイバン族とはいっても、もう今はみんな携帯を持っている。ほどなくしてホテルにやってきたイバンは英語もペラペラであった。まあマレーシアだから当たり前か。しかしこの男が曲者であった。
「採集に連れて行ってやってもいいが、魚を持って帰ることはできない。写真を撮るだけだ。」と。
「はあ?なんで?」
「ごにょごにょごにょごにょごにょごにょ・・・でも、魚を私から買うなら持って帰ってもいい。」
「別にお前がいなくても見つけられるからいいや。ありがとう。笑」

僕はTEAM BORNEOとして10年以上ベタを採っている。
君も長らくやっているかも知れんが、君が採ったことあるのはマクロストマだけだろ?
僕はベタをいろんな角度から見て探すことができるし、情報の集め方も知っている。 地形をみれば川がどこにあるか分かるし、川をみれば何の種類が採れるかも分かる。
友人がせっかく紹介してくれたからコンタクトをとっただけ。自分で採れないからコンタクトをとったわけじゃないんだよ。プッ、イバン族も地に堕ちたな。
そんな訳で当初の予定通り自分で探すことにした。

僕は次の日からさっそくタクシーをチャーターして採集に出掛けた。
いくつかの細流を見て回った後(クリプトも探していた)、丘陵地帯へ入った。
ある程度、標高を上げたところで、この辺じゃないだろうかと森の中へ入った。
森の入口には小道があり、道は下の方へ下っていっていた。大抵こういう小道はゴムを採集したり何かフルーツがあったり、村人が使用しているものだ。
こういう村人が使う森の小道のそばには、たいがい細流があるというのがボルネオでの決まりごとなのである。
僕はこの小道の急坂をどんどん下って行った。降りていくとその先に上がっていく斜面が見えた。
おし、谷だ!こりゃ川があるはず・・・・・・うひっ、あったあった♪こりゃあ、いるんじゃねえの?
川はある程度流れがあり、前日の夜からの激しい雨の影響かかなり白濁していた。川幅は1〜2mくらい。

川があった。かなりの急斜面なのがわかるでしょうか。

僕は取ってきたミミズをヒモにくくりつけた。釣りをしようというのである。
ヒモを木の棒に結び、ミミズを水面あたりでピタピタ躍らせてみた。
マウスブルーディングベタはミミズには超敏感に反応する。もしいれば一発なのだ。
「んっ!きたーっ!!」と思ったら5cmくらいの手ナガエビ・・・以外にブルブルくるのだ。
ポイントを変えてピタピタ。次の瞬間、濁った水の中から水面のミミズめがけてものすごい勢いで魚が飛びついてきた!
ビンゴーーっ!マクロストマだっ!!
大きさは小さいが間違いなくマクロストマの幼魚である。
まさに聞いていた通りの川である。川幅はせまく水草などは生えていない。他の魚種は見当たらず、いるのは手ナガエビの一種だけだ。
しかし小さい個体が多いのか、ミミズのはしこっに噛みついて釣り上げるときに外れてしまうことが多い。
ううーん、じれったいなぁ〜・・・やっぱ網だな。僕は川に入って採集を始めた。

ついにマクロストマが!う、美しい♪

ベタ・マクロストマの生息地。激しい雨の影響で増水。すごく濁ってますね。

個体数は少なくないが小さい個体が多い。増水しているようなので大きい個体が採集しにくいのだろうか。 しかし時期がよければたくさん採れそうなよい川である。

このマクロストマの生息地の近くにベタ・アカレンシスの生息地も見つけた。川は小さいのに個体数も多く、個体もでかい♪
以前はクチン周辺に生息していたベタもアカレンシスとされていたが、クチン周辺のアカレンシスタイプはベタ・イバノルムとされたので、ベタ・アカレンシスはサラワク州東部やブルネイ周辺の生息となっている。

ベタ・アカレンシスの生息地

でーかーいー。アカレンシス。

同じ場所で釣り上げたスネークヘッド。

今回、このバラム川水系のクリプトコリネ、ザイディアナもいっしょに探していたのだが、激しい雨の影響で増水し残念ながら探し当てることはできなかった・・・残〜念。

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