マハカム川採集記2007&2008U

なんとレポートをほったらかしにして一年も過ぎてしまった。ひど過ぎる怠慢である。
2007年、そして今年の2008年もマハカム川を訪れたので今年の情報も交えてレポートしたいと思う。

さて朝一からさっそくバイクタクシーを日雇いし、ベタの生息地を探しに出発だ!
ちょっと雲行きが怪しいが、まあ致し方ない。
マラッ(MELAK)の村からロンイラム(long iram)方面へバイクを走らせる。 西カリマンタンのカプアス水系ではあまりない一つの事にすぐに気づいた。やったら坂が多いなあ〜。 しかも結構な急坂である。

しばらく進むと僕は一つの小さな流れに目をつけた。それは本当に小さなもので5m先はもう水の水源地、湧水であった。水深は5cm〜10cmほど。水底には落ち葉が沈んでいてクリアウォーター。 もしここが西カリマンタンならばここに必ずベタがいるはず。
マハカム川に生息するすでに確認されているBetta属は次の4種。
Betta channoides,Betta unimaculata,Betta compuncta,Betta obscura である。
最後の Betta obscuraは中央カリマンタンに生息するアカレンシスグループということになっているが、東カリマンタンにもこのアカレンシスグループのベタが確実にいるはずで、該当するものがないので便宜上こう呼ぶことにする。

ちょっとした水辺を発見!ここに何かいるかな・・・?

「ハイ、出ました〜!ウニマク!?」
このベタはもっと岩場のゴツゴツした所に生息していることが多いのかと思ったら、そうでもないようである。 しかしここのウニマクのメス、尻びれがやたら黄色くない?水槽内でもこの色がキープできればキレイなんだけどな〜。
ちなみにここは水源地だからあまり増水した様子はない。こういう場所は水位が安定しているんだろうなぁ。 またウニマクはそういう場所を好む種類であると推測できる。
西カリマンタンでいえばBetta antoniのキャラクターに近いといえる。
一発目でウニマクを探し当て気を良くした僕。さぁ〜次行ってみよう♪

Betta unimaculata"Melak"産の雌。水槽内画像。

ウニマクラータの生息地で見つけたパールスポットがきれいな葉っぱ

僕は細流を探した。先ほどのウニマクの生息地からさほど離れていない地点で目に留まる細流を見つけた。 ここは先ほどのウニマクの生息地よりもう少し水量は多い。クリアだがちょっと笹濁りした水がゆったりと流れている。
こりゃ怪しいでしょう。僕の集めた事前情報と照らし合わせると、ここはチャンノイデスが生息していそうな感じの川だ。

宿のおじさんとチャンノイデス採集の様子。2008年画像。

「う〜ん・・・?アレ、いないかな?」 と思った次の瞬間、小さな黒っぽいベタが網の中の落ち葉にくっついているのが見えた。
「ハッハーン、いた〜!チャンノイデスです〜♪☆」
俄然やる気が出て本腰をいれて探し始めるが、あまり個体数は多くなく数個体しか採集できなかった。 ただ面白いのはウニマクも同じ場所で網に入ってきたこと。チャンノイデスとウニマクラータのコラボレーション! ただ個体数はやはり多くなかったので、ウニマクラータはもっと上流のほうにメインの生息地があるのかもしれない。 水草などはこの場所には生えていなかった。

キタっ!マハカムのチャンノイデスだっ!

さらに良い状態の生息地を探してみよう。もうバイクでかなり走った。もうロンイラムとの中間点かそれ以上かもしれない。相変わらずアップダウンの激しい道が続く。 あまり良さそうな川が少ないが・・・おっとストップストップ!ここは?
何となくディミディアータの生息地を思わせるような川の感じと川幅。 水の流れはディミディアータの生息地よりだいぶ早いかな。水はクリアウォーターでちょっと濁ってる。

この川の感じ、いいんじゃないすか!?

僕は奥の森に入って行った。奥に入っていくと所々流れのよどみにバークレアが水中に生えていた。 そのバークレアの下を探ってみると・・・
「おおっ、いたいた!すごい、いっぺんに3匹も入ってきた!!」
個体数もなかなか多いようだ。なるほど〜チャンノイデスはこういう川を好むのか。思っていたよりは川全体の流れは速い。
しかし個体数の多さは、そのまま川の状態の良さを物語っている。そしていつも思うけど良い状態の川に入ると、なんというか五感が刺激されるというか、とにかくすごく清涼感に包まれて気持ちがいいんだよね。この川はいい!

下の2枚の写真を見てほしい。このチャンノイデスの生息場所に2008年の今年も訪れてみた。
一枚目は2007年5月、2枚目は2008年5月。
今年も去年と同じようにマハカム川は増水していた。同じような状況だったのに、この2枚の写真の水量と水流はまるで違う。
実は2008年の画像は前日の夜から朝にかけて非常に強い雨が降った後だったのである。マハカム川の中流域の地形は前述したとおり、アップダウンの激しい丘陵地帯である。 細流はこのような周辺の環境によっては激しい雨が降ると一気に増水することがある。 当然、水が引くのもそれほど時間はかからないだろう。
しかし見た感じの水流の速さではチャンノイデスは水中に定位できるとは思えない。 こういう場合、チャンノイデスは一度下流に流され、水の流れが穏やかになると再び上流に遡上していくと思われる。

いい川は気持ちがいい!2007年5月画像。

上の画像と同じ場所の2008年5月画像。増水中!

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