Bangka島採集記2005年T

昨日の夜はホテルのスタッフのリーとディスコへ行ってきたが、ジャカルタの夜は月曜日だというのにかなり盛り上がっていた。
ジャカルタのディスコでかかっている音楽は、日本で言えばどっちかというとクラブに近い感じだ。
さほど日本と変わるところもなく、酒を飲んでマッタリする人、女とイチャつく奴、とにかく踊りまくる人、まあ人それぞれである。
女の子の服装も日本と変わらず、ジーパンの子もいればミニスカートの子もいるし、ブヨッとしたおなかを出したヘソ出しルックの子がいるところも日本と変わらない。
残念である。僕としては、女の子がみんなモスリムのベールを被って一斉に妙ちくりんなダンスを踊っていれば壮観であろうし、それを期待したのだったが無いようである。

しかし大きな違いが一点だけあった。 それは、ディスコに入った一番入り口に近い席に、エッチなことをしてくれるお姉さんがズラッと並んで座っている事であった。
20人くらいはいたかな。そしてディスコの入り口には、その女の子たちを取り仕切っているであろうオバサンが一人立っている。
女の子たちは露出度の高い洋服を着ていて、いかにもそれっぽくわかりやすい。 けっこうカワイイ子も多いのだが、何かみんなグッタリとしていて背もたれに力なくもたれかかり、寝ている子も多かった。
で、その中から自分の好みの子を指名するらしいのだが、その女の子を指名するとどうなるか、という肝心な事に関しては残念ながらレポートすることが出来ない。
昔のクセで自分の歳も考えず、明け方までさんざん踊りまくり、その後遺症を引きずったままバンカ島へ入ることになった。

さてと、バンカ島のパンカルピナンに到着し、さっそくタクシー探しである。レンタカーを探すのは難しいが、タクシーをチャーターするのならすぐに見つかる。
運転手付きで大体20〜25万ルピア、日本円に換算すると¥2500前後が相場である。
タクシーといってもワンボックス型の乗り合いタクシーなので、荷物はわんさか積める。
適当に若目の兄ちゃんを捕まえ、明日の朝8時にホテルに迎えに来てくれるように約束する。
アナバン用スペシャルネットが出来上がっていなかったので、釣具屋さんを一緒に探してもらって目の細かい魚採り用のネットと太目の釣り糸を購入。 さっそく網作りに着手する。
今回の採集旅行は後半グダグダで書くこともないので、このこだわりのスペシャルネットの紹介でもすることにしましょう!

この網は特注の鉄枠に、街の釣具屋で買える魚用のネットを縫い付けて作っているもので、約一ヶ月の採集が終わったらネットの部分は破いて捨ててしまう。 鉄枠だけ日本へ持って帰り何度も使うのである。 採集した後の臭いネットが付いていないので空港職員にも白い目で見られない。
もう何年も愛用しているこの網は、試行錯誤を繰り返し改良を重ねて作り上げた、大げさに言うとベタ採集の網としての究極形なのだ。

ベタ採集の網として求められる一番大切な条件とは、まずとにかく頑丈で壊れないことである。
落ち葉ごと掬うことが多いベタの採集では、その重みはかなりのものなので、ダメな網は網と柄の接続部分がすぐに壊れて使い物にならなくなる。接続されていてはダメなのである。
それと網の枠の部分がアルミパイプになっている物、あれも全くダメである。すぐにパイプが潰れて枠がちぎれてしまう。
そこで考えたのがシンプルな鉄棒を成型し網の枠に使うという方法だ。鉄棒は直径は約5mm。
これ以上細いと枠がひん曲がってしまうし、これ以上太いとかなりの重さになってしまう。
そして特徴的なのは、この鉄棒が網の柄も兼ねているところで、この鉄棒の柄の部分にタイヤチューブ用のゴムをグルグル巻きにしてあるだけのシンプル設計なので、壊れようがないのである。
加えてタイヤチューブ用のゴムは水に濡れてもグリップ力は抜群である。
ベタを採集するのに柄の長いものは全く必要がない。この網も柄の部分はたったの15cmである。
柄が長いと、ブルディガーラやパンカランブンなどが生息するピートスワンプに入って採集する際に、柄がヤブに引っかかってしまって非常に採集しづらい。
このくらいの太さの鉄枠だと、このような足場の悪い場所で網を杖がわりに使っても枠がひん曲がってしまうことが無いし、ヤブに入るときも行く手をさえぎるツルなんかを、この網で叩いてブッチ切っていくことも出来るという優れものである。

アナバン専用スペシャルネットだ〜!

次にサイズ。
網は円形で直径は約40cmにしてある。場所によってはもう少し小さいほうが良い場所もあるが、 バイランティなどの大場所での採集も考え含めると、トータル的にはこの大きさがベストだと自分なりには考えている。
そして網を縫い付けるときは網の深さに注意するようにしている。
あまり網を深くしすぎると、水底の落ち葉や小枝ごとベタを掬った時にその重みでベタが傷ついてしまうことがあるからで、網の深さは出来るだけ浅く、なおかつ入ったベタが飛び跳ねて逃げてしまわないような深さに調整する。
ちなみにベタは網に入ると上に飛び跳ねて逃げようとするのでわかりやすいが、 リコリスは底へ底へと逃げようして、ネットのひだに入り込むので見落とさないように注意が必要だ。
というわけで僕のこだわりのベタ採集網を紹介しました。とにかく網は「枠が命」なのであります。

それでは話を戻して・・・。
まず向かったのはバンカ島南部のトボアリである。バンカ島の南西部は低湿地帯が広がっていてBetta burdigalaが生息している。
以前も訪れたことがある採集ポイントがあったのでそこへ直行した。

Betta burdigalaの生息地のピートスワンプ

ここのポイントはまだ無事であった、というのもパンカルピナンからここへ向かう途中、以前あった林は伐採され、 錫の採掘に以前にも増して力を入れているようで、美しかった川が泥まみれになっている場所が多かったのだ。
このポイントの水位は以前とさほど変わっていなかったので、採集ポイントはわかりやすかった。
水位が高くても林の中の浅い場所を探せばよいのである。落ち葉の下にブルディガーラは隠れている。
相変わらずのヤブ蚊の総攻撃であったが、そんな環境が残されていることが大切なのである。

Betta burdigalaとタクシーの運ちゃん

次に向かったのはコバの街である。以前ここではParosphromenus deissneriを採集したのだが、 しかし残念ながらここの場所は、あの忌々しい錫の採掘に侵されていた。
クリプト天国といっても大げさではないほど、辺り一面足の踏み場もなかったクリプトの絨毯は見る影もなく、 泥水の届かない水流の脇に細々と生えているだけであった。3年でこの変わりようである。

バンカ島のクリプトにも危機が・・・!

クリプトの葉陰にわんさかいたデイスネリィもいくら網を入れても一匹も採れず、ヤル気も失せてクリプトをちょこっと頂いて帰ってきただけである。
この川はかなり水量があることが災いして、錫の採掘に利用されてしまったようである。
しかしこの場所でマンディをしなければいけない住民達はどう思っているのだろうか。
ジャカルタから来る際、飛行機からバンカ島を見下ろした時、島の回りだけまっ茶っ茶になっていて、 周りの海の青さの鮮やかさとあまりにかけ離れた海岸線に嫌な予感はしていたのだが・・・。
このコバの街は町の中心に魚とエビのシンボル的なオブジェが建てられているけど、 これでは近海の漁業にも影響があるのではないだろうか。
次にここへ訪れるときにも、このオブジェが取り壊されていないことを願いつつパンカルピナンへ戻ったのであった。

[back]