初めて中央カリマンタンへT

今回(Nov/99)僕は夢と希望を持って初めて「カリマンタン最後の秘境!」中央カリマンタンへ入った・・・のだが、 まさかこんな状態であろうとは思いもよらなかった・・・打ち砕かれたのである。

中央カリマンタンへの入り方はいくつかあるが、ジャカルタまたはスラバヤから飛行機、 またはフェリーで入るのが一般的だ。僕はいつも節約型貧乏旅行なので (貧乏だから節約しなくてはならない)まあフェリーが妥当だろう。
生意気にもそのフェリーにも階級がある。ファーストクラス、セカンドクラス、エコノミーである。そして僕は当然エコノミーということになるのだが、でもこのエコノミーはさすがにきつかった。
運良くというか、人の波を押しのけてマットを確保できた人はいいが、僕は旅行者で魚用の発泡なんかも持っていて動きが緩慢なので、あの血走った人たちの中では全く無力である。 薄っぺらいマットさえ確保することも出来ず、硬いベンチの上でリュックを枕に寝ることになってしまった。 眠れない夜を一晩過ごしスラバヤから丸一日、僕は南カリマンタンのバンジャルマシンの地に降り立ったのだ。
ところでここで断っておきたい。このHPではKal-Baratを西、Kal-Tengahを中央、 Kal-Selatanを南、Kal-Timurを東とよぶことにしている。

バンジャルマシンは南カリマンタンの州都である。といってもそれほど大きいわけではなく、 ポンティアナックと比べると幾分のんびりとしている感じだ。街はバリト川の河口付近にあり、 バリト川を越えれば中央カリマンタンに入ることが出来る。
今回いつものことながら綿密な計画など立ててはいないが、これは見てみたい!というものはあった。
まず、スファエリクティス・セラタネンシスだ。そして同属のアクロストマである。 そう僕はスファエリクティス属の制覇を狙っているのだ。 それからリコリスのパーブルスである。これはリコリスの中でも非常に魅力的な小型種だ。 あともし時間があればパンカランブンまで行ってみたい。魅力的な種類がいるのはもちろんのことだが、 西カリマンタンへ抜けられる道があるかを確かめたかったというのもある。 必然的に中央カリマンタンを横断というかたちになる。

僕らはまずボートで中央カリマンタンの州都であるパランカラヤに向かった。 バリト川、カプアス川、カハジャン川の3本の川は水路でつながっている。 だからカハジャン川沿いにあるパランカラヤまでボートでいけるのだそうだ。またはバスを使うという手もある。
しかし僕はこのボートの道中、いやな予感がしていた。 奥地から切り出したものすごい量の木材が川に浮かべてあったのである。そして木材船の多さ・・・。 そしてその予感は的中することになってしまったのである。

パランカラヤに着いた僕らは宿を探した。いや宿は山ほどあるのだが、なぜかどこもいっぱいなのである。 重い荷物を背負ったまま10軒ほどまわったが、どこもいっぱいである。なぜだ〜! しかもどの宿の応対も何かいや〜な感じ!である。もうしょうがない、明るいうちに場所を変えてしまおう。
僕らはここから1時間ほどで行ける、フォーシィタイプの産地として名高い?タンキリンの町へ行くことにした。 ところが着いてみればそこは町というより、いや完全に村である。宿があるのか不安になってしまったが、 案の定ここには宿なんて無いよ、と村人に言われてがっくりである。
しかし親切な人もいるもんなのである。自分の家は部屋が空いている、うちに泊まれ!そう言ってくれる人がいた。 でも実はこれはカリマンタンではそんなに珍しい事ではないのだ・・・。
さてと寝る場所は確保したし、明日から採集ができるな。

タンキリンの丘

僕らはまずパランカラヤ方面へ少し戻る事にした。パランカラヤ方面へ10kmほど向かったところに、 パーブルスが生息している川があるはずなのだ。その川はすぐに見つかった。間違いない、ここだろう。 ブラックウォーターでアンジュンガンあたりと同じような環境であった。
しかし相当増水しているようだ。今は11月である。完全に雨季に入ってしまっている。 まあそんなこと承知で来ている訳だが・・・。しかし全く採れる気配が無い。う〜ん・・・だめじゃ。 リコリスというのは場所にもよると思うが、条件が合わなければさっぱりだめなことが多い。
アンジュンガンでもこんな事があった。前の週、リコリス.アンジュンガンやリコリス.オルナティカウダをたくさん採ったのに、少し雨が降った次の週に行った時には、どれほど探しても全く採れなかったという事があったのだ。 まあ仕方がない、そんな時は目先を変えてフォーシィでも探しに行こう。

タンキリンの村の左手にはちょっと変わった感じの岩山の丘が二つある。 ここは怪しいのではないか・・・そう思い山の間を入っていった。
15分ほど進むと、左手の斜面の下から小川のせせらぎが聞こえてきた。 降りてみると、おっ!クリアウォーターの中に丸葉のクリプトコリネの群生が広がっていた! ラッキーである。クリプトコリネが群生しているようなところは水の状態も良く、 ベタやリコリスが大抵生息しているものなのだ。おっーと!やはりいきなりセラタネンシスが入ってきた!

初めてお目にかかったセラタネンシス

ほーう、こいつがセラタネンシスか。はじめて見るセラタネンシスの印象は、チョコグラより明るめの体色かな、という感じ。 チョコグラでは乳白色のラインが、セラタネンシスでは黄緑やピンクがかった乳白色という感じで、 ライン数も多い。
あとここではベタ・エディサエとアカレンシスタイプのベタを採る事が出来た。 上流へ進むとちょっとした渓流のようになっていて、フォーシィタイプのベタが好むような環境ではなかったが、 なにか渓流性のベタでもいるのでは・・・と思いさらに採集を続けたが、水量はどんどん減っていって他のベタは見つからなかった。 そしてこの村の周辺では結局フォーシィタイプのベタは見つけることができなかった。

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